ぶぜん神楽

BUZEN KAGURA

開催レポート

神楽には人を虜にする何かがある。実際、福岡県豊前市には、神楽に憑りつかれた人々がいる。そんな憑りつかれた人々にとって、5年に1度の「神楽まつり」は何ものにも代えがたいイベントであったに違いない。豊前市民の私もそのひとりだ。とりわけコロナ禍で、毎年当たり前に行われていた秋まつりがことごとく中止になった昨今を想起するならば、その思いは格別である。そんな神楽に憑りつかれた人々が集う「ぶぜん神楽まつり2022」(11月5、6日開催)の熱い2日間を報告する。

「ぶぜん神楽祭り」初日

「ぶぜん神楽祭り」2日目

豊前神楽とは

福岡県の東部に位置する豊前市。人口24,000人余りが暮らすまちは旧豊前国に含まれ、そのエリアには豊前神楽という古くから伝えられた芸能がある。主役は駈仙(御先)鬼と呼ばれる恐ろし気な面に包まれた鬼人で、異なるものとして人々を苦しませたかと思えば、善鬼として幸福をもたらすという。
古く農耕に生きた人々は四季の緩やかな移ろいにその年の豊作を祈り、秋の五穀豊穣を神に感謝した。その術として豊前神楽は人々の暮らしとともにこの地に伝えられ、息づいた祈りの文化なのである。

豊前神楽の背景にあるもの

山は古の頃から聖なる場所として人々の崇敬の対象となり、神の住む特別な空間として神聖視されてきた。中でもシンボリックな山容は信仰の対象となり、求菩提山という円錐形の独特の形をした山は、修験道(山岳信仰)の拠点として多くの山伏が修行に励んだという。
山伏たちは厳しい修行を積むことで特別な力が宿ると考えられ、その力をもって加持祈祷を行い様々な災いから民衆を救おうとした。
その力を示す儀礼の一つが神楽であり、鬼杖(おんづえ)と呼ばれる魔法の杖を人々に授けるために山伏は鬼を鎮め、命の再生を果たそうとした。

豊前神楽の歴史

求菩提山の山伏が神楽という宗教儀礼を始めたのがいつのことかは明らかではないが、少なくとも今から800年ほど前には行われていたと考えられる。約600年前に記された記録には「八乙女と五人の神楽男によって神楽が執り行われた」とし、山伏がその神楽の秘儀を伝授したとある。一般的にこうした神楽の在り方は室町時代に遡ると考えられており、豊前の地でも既に神楽が成立していたことが知られる。
その後、西日本の神楽は出雲神話によるストーリーで演じられるようになり、天孫降臨や大蛇退治、天岩戸といった物語が好まれた。そして、神楽は社家(神官)によって演じられるようになり、今よりはるかに沢山の演目が存在したことが神社に遺されている記録により確認することができる。
しかし、神仏習合という修験道の儀礼を完全に取り去ることはできなかったようで「湯立神楽」という豊前神楽で最も特徴的で勇壮な演目は、豊前修験道の最大の祭礼である「松會」行事のうち、幣切神事の影響を色濃く残している。
さて、明治維新は日本の歴史に大きな変化をもたらしたが、神楽を取り巻く環境も例外ではなかった。神楽の担い手は社家から氏子へと受け継がれ、地域の伝統芸能として新たな歴史を刻むこととなる。そして社会情勢の変化に伴い紆余曲折を経ながら今、豊前神楽は伝承への新たなステージを模索し始めている。子ども神楽の取り組みはその確かな一歩なのかも知れない。

感染症対策の取り組み

・入場に際しては使い捨ての不織布マスクの着用をお願いします。
 ※マスクは、不織布マスクをご着用ください。
・入場後は、できるだけ会話をお控え願います。
・体調のすぐれない方はご来場をお控えいただき、すみやかにご退出を願います。
・指定場所の椅子に着座いただき、椅子の移動をしないようにしてください。
・会場内に消毒用アルコールを配置しております。手指のこまめな消毒をお願いします。

継承活動の取り組み

約2年の間、福岡県豊前市内の神楽団体は、コロナ禍において奉納や公演を見送ってきました。コロナ禍の期間、地元の神楽団体は、神楽に関わる人々や練習に励む子ども達の神楽への情熱が冷めてしまう危機感を抱えてきたそうです。
今回は、豊前市内に伝承されている六つの「豊前神楽」(国指定重要無形民俗文化財)の団体から、主に子ども神楽の指導をしている30~70代の代表者に、神楽の魅力、受け継いだ心構えや技、地域との関わり、そして未来に伝え継ぎたい想いなどを伺いました。

開催概要

開催日程

「豊前神楽(市内6団体)」と
「感応楽」の奉納
11月5日(土) 15:00~17:30
子ども神楽フェスティバル
18:00~20:00
湯立神楽(山内神楽講)
11月6日(日)  9:00~17:30
豊前神楽奉納
13:10~13:50
「感応楽」特別奉納

アクセス

〒828-0021 福岡県豊前市八屋1776−2
豊前市立多目的文化交流センター

■アクセス

・車

福岡ICより車で約90分(有料道路利用;東九州道 豊前IC)
※一般道路利用の場合は約120分(八木山バイパスから飯塚・田川経由)

・電車

JR博多駅から宇島駅まで約1時間35分(特急列車利用)
 ※宇島駅通過の特急列車あり

JR小倉駅から宇島駅まで約50分(在来線利用)
宇島駅(最寄り駅)より徒歩で約13分

・バスを利用の場合

JR宇島駅より最寄りバス停「豊前市立図書館前」(豊前市バス)徒歩約1分